略奪の古美術品27点、METから押収
検察当局、総額1300万ドル以上
ニューヨークの検察当局は今年2~7月の半年で、メトロポリタン美術館(MET)から価値総額1300万ドル以上の古美術品27点を押収した。古代ローマやギリシャ、エジプト各時代の栄光に関するもので、すべて略奪品だと指摘している。ニューヨーク・タイムズが2日、伝えた。
押収は3回に分けて実施。押収した27点について、イタリアに21点、エジプトには6点が来週、それぞれ返還される。これら古美術品のほとんどは、イタリアの捜査当局による調べで、違法取引の対象とされていた。検察当局は、27点のうち8点は、スイスで数十年間にわたりギャラリーを経営し、訴追されたことがあるジャンフランコ・ベッキナ氏から直接入手したとしている。
METは声明で、イタリアの美術品を巡る情報は捜査当局から最近知らされたと説明し、全面的に捜査に協力しているとの立場を示した。その上で「収集に関する規範は、ここ数十年で大きく変化した」などとして、審査を厳格にしたとの認識を強調している。
イタリアに返還する美術品の価値は1000万ドル、エジプト分は320万ドルとされる。とりわけ、注目すべきは紀元前470年のテラコッタ製のカイリックス(酒杯)。価値は120万ドルに上り、ベッキナ氏から1979年に直接購入したという。今回の押収は、国際調査報道ジャーナリスト連合が明らかにした報道が発端となった。
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