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共同通信
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福島市松川町で1949年に国鉄の列車が転覆し3人が死亡した「松川事件」で、無罪となった阿部市次(あべ・いちじ)さんが昨年10月10日午前9時43分、老衰のため福島市御山井戸上の自宅で死去した。元被告全20人のうち存命していた最後の1人だった。99歳。
下山事件、三鷹事件と並び国鉄に絡む三大事件の一つとされ戦後最大の冤罪事件といわれた。人員整理を巡って緊張が高まる中、国労の組合員など計20人が汽車転覆致死などの容疑で逮捕、起訴。61年の仙台高裁差し戻し審で全員に無罪が言い渡され、63年に最高裁で確定した。阿部さんは冤罪防止を訴え、語り部活動に取り組んだ。