差し入れの現金「教団被害者に」

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共同通信
1月、鑑定留置を終え、奈良西署に入る山上徹也被告

 安倍晋三元首相銃撃事件で、殺人罪などで起訴された山上徹也被告(42)が差し入れで届いた現金について「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害に苦しむ人のために使いたい」と周囲に話していることが11日、関係者への取材でわかった。奈良県警は教団関連施設への建造物損壊容疑などで被告を近く追送検する方針で、一連の事件の捜査が終結する。

 関係者などによると、これまで被告宛てに全国から食品や衣類のほか、現金計100万円以上が届いている。被告の母親は教団に入信して総額約1億円を献金しており、被告は逮捕後に「多額の寄付で家庭が崩壊した。(教団を韓国から)招き入れたのが岸信介元首相。だから(孫の)安倍氏を殺した」と供述した。

 事件をきっかけに教団への高額献金の被害などに注目が集まり、悪質な寄付の勧誘行為を規制する被害者救済法が昨年12月に成立した。

 被告は手製銃を無許可で製造し、教団の教会が入っていたビルに試し撃ちをしたなどの疑いが持たれており、県警は建造物損壊のほか、武器等製造法や銃刀法の違反容疑などで追送検する。