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共同通信
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国立国語研究所(東京)が識字調査の1948年以来の全国実施を目指している。既に岡山などで、義務教育を受けられなかった人たちが通う夜間中学の生徒らを対象に実施。約2割が十分に読み書きができず「日常生活に支障の恐れ」との結果も出ている。最新の国勢調査では義務教育の未修了者が約89万人いることが判明したほか、不登校などで十分学べなかった「形式卒業者」もいるとされる。識字率の実態把握は学び直しの促進につながりそうだ。
昨年7月、ボランティアのスタッフが教える岡山自主夜間中学校(岡山市)で、10~80代の生徒ら約40人がテストと向き合っていた。テストは熟語を選んだり漢字を書いたりする全90問。約1万7千人を対象とした48年の「日本人の読み書き能力調査」の語彙などを現代版に修正したものだ。
調査を担った国語研の野山広准教授によると、義務教育以上を受けた人と比べるためスタッフも受験。平均点はスタッフが87.9点、生徒が79.3点。野山准教授は「2割ほどの生徒が識字に問題を抱えている可能性がある」と話す。