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共同通信
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沖縄返還での日米密約をスクープし、1972年の外務省機密漏えい事件で有罪が確定した元毎日新聞記者西山太吉さんが24日午前7時35分、心不全のため北九州市の介護施設で死去した。91歳。山口県出身。葬儀は近親者のみで行う。喪主は長男正人さん。
毎日新聞政治部記者だった72年、外務省の女性事務官に沖縄返還での日米密約に関する機密公電の漏えいを働きかけたとして、国家公務員法違反容疑で警視庁に逮捕され、起訴された。東京地裁は74年、無罪判決を言い渡したが高裁で逆転有罪となり、78年に最高裁で確定した。
密約を示す米公文書が相次いで見つかったのをきっかけに05年、違法な起訴や誤った判決で名誉を傷つけられたとして、国に謝罪と損害賠償を求めて提訴。08年に最高裁で西山さんの敗訴が確定した。
09年には原告の一人として、密約文書の非開示処分取り消しを求めて提訴。東京地裁は10年、密約の存在を認定して国に関連文書の全面開示を命じた。東京高裁で逆転敗訴し、14年に最高裁で確定した。