桂米朝さん筆の落語草稿発見

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共同通信
見つかった桂米朝さんの新作落語の草稿。右上に「犬のくやみ」というタイトルが記されている

 上方落語の復興に尽力した人間国宝の桂米朝さん(1925~2015年)の自筆で、「犬のくやみ」というタイトルの新作落語の草稿が兵庫県尼崎市の自宅で見つかったことが2日、分かった。全集に収録されておらず、米朝事務所や近しい研究家も存在を把握していなかった作品といい、近く上演される見込みだ。

 社長の飼い犬が死んで、お悔やみに訪れるサラリーマンたちの姿をユーモラスに描いた内容で、30代前半に書いたとみられる。若き日の米朝さんの落語へ向き合う姿勢がうかがえ、専門家は「草稿が残っていたのは極めて貴重」とみている。

 米朝さんと半世紀の交流があった落語研究家の小澤紘司さん(78)が昨年、米朝さん宅で資料整理中に見つけた。

 わら半紙2枚にびっしりと書かれ、整った会話文の形ではなく、「田中、山田へ社長宅へ行こうと云う。犬のお通夜」などと要点が記されている。社長の飼い犬の「トム」や「サラリーマン」などと片仮名を使い、古典落語とは違った味わいになっている。

桂米朝さん