諫早湾干拓、開門の無効確定

Published by
共同通信
国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防で仕切られた有明海(左)と調整池=2022年2月、長崎県・諫早湾

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門を開けるよう命じた確定判決の「無効化」を国が求めた請求異議訴訟で、最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は、漁業者側の上告を退ける決定をした。開門を認めず、国勝訴とした福岡高裁判決が確定。排水門に関する判断は「非開門」で統一され、法廷闘争は事実上決着した。裁判官5人全員一致の結論で、詳しい判断は示さなかった。1日付。

 排水門の閉め切りから間もなく26年。裁判が乱立し「開門」「非開門」という相反する判断が併存するねじれ状態が解消された。係争中の他の裁判でも今後、開門を認めない可能性が高く、漁業者側が求める開門の実現は極めて困難となった。

 一連の裁判で漁業環境の悪化に悩む漁業者らは開門を求め、塩害を懸念する干拓地の営農者らは非開門を要望。今回の請求異議訴訟は、5年間の開門調査を命じた2010年の確定判決に従わない国が、判決に基づく強制執行を避けるために起こした。18年の福岡高裁判決は開門命令の無効化を認めたが、最高裁が19年に差し戻した。