「顔と背に小銃」戦地の実態克明

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共同通信
カンボジアPKOに文民警察官として派遣、1993年4月に襲撃されAK47(自動小銃)を突き付けられた時の詳細を記した平林新一さんのメモ

 カンボジア国連平和維持活動(PKO)で派遣され、1993年4月に武装勢力に初めて襲われた日本人文民警察官が、当時の詳細を記したメモを11日までに共同通信に明かした。顔と背中に自動小銃を突き付けられたり、拠点に土のうを積み襲撃に備えたりした状況を記載している。14日で襲撃から30年。安全とされた現地が「戦地」だった実情が分かる貴重な資料だ。

 メモは92~93年に派遣された警視庁OB平林新一さん(68)が帰国後の93年6月に作成。襲撃3週間後には、同僚だった岡山県警派遣の高田晴行さん=当時(33)=が武装勢力に撃たれて死亡した。日本は停戦合意など参加5原則を掲げPKOに自衛隊と警察官らを初めて派遣した。

 平林さんが襲撃されたのは93年4月14日。拠点があった北西部で、会議出席のため1人で国連の車を運転中だった。突然銃声が響き、男2人が前方で銃を平林さんに向けて立ちはだかり、10人近くに囲まれ、車内から引きずり降ろされた。「1名は顔面に、1名は背中にAK―47(自動小銃)を突きつけ」車と財布などを奪った。

1992年12月、カンボジア・アンコールワットを休暇で訪れた平林新一さん(中央左)と高田晴行さん(同右)