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共同通信
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長崎市長を4月まで4期16年務め、国内外で「長崎を最後の被爆地に」と核廃絶を訴えた田上富久氏(66)が、19日に開幕する先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を前に共同通信のインタビューに応じた。ウクライナに侵攻するロシアの核の脅威に直面する中、被爆地での真摯な議論を通じ「核兵器に頼らない安全保障をしっかり追い求めてほしい」と願った。
2007年の市長就任以来、田上氏が平和行政に尽力する原動力となったのは、自らの壮絶な体験を語り続ける被爆者の姿だ。他の人に同じ体験をさせまいと、「心の中のかさぶたをはがし、血を流しながら語っている」。被爆者の思いを伝えていく使命を感じた。在任中は核軍縮・核廃絶関連の会合に出席するため海外へ21回渡航し、「原子雲の下で何が起きたか」を議論の起点にしてほしいと繰り返してきた。
市長が長崎原爆の日に毎年発出する「平和宣言」などで、唯一の被爆国でありながら、安全保障を米国の「核の傘」に頼る「政府のズレ」を指摘してきた。