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共同通信
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電撃的に来日し、G7広島サミットの討議に出席したウクライナのゼレンスキー大統領に、被爆者らは訪問を歓迎する一方、「広島開催の意義が薄れるのでは」と懸念する声も上がった。
「被爆の実相に触れてもらえるのは良いが、違和感も残る」。元原爆資料館長で胎内被爆者の畑口實さん(77)は複雑な思いを口にした。G7首脳声明は、軍事面を含むウクライナが求める支援を提供すると明記。武器供与などの軍事支援は、ロシアを刺激する恐れがあり「戦争が長期化し、反戦を訴える広島開催の意義が薄れてしまうのではないか」と危ぶんだ。
8歳の時に被爆した広島県府中町の八幡照子さん(85)はG7各国に「武器より子どもへの支援を」と訴える。テレビに映るウクライナの子どもたちに、惨状におびえ飢えに苦しんだ自身を重ね、胸を痛めている。「戦争がエスカレートしていくのが怖くてたまらない。今も命が失われている」と早期終結を願う。
八幡さんは「広島が願うのは核廃絶。踏み込んだ議論がされなかったのが残念だ」と話した。