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共同通信
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日本海沿岸を襲った地震と津波で秋田県を中心に104人の犠牲者を出した1983年の「日本海中部地震」の映像が、ユーチューブで公開されている。津波で海上の船が木の葉のように翻弄される場面や、岸に打ち上げられた多くの船、被災直後の街の様子も映り、大災害の一端を克明に記録している。
当時は同県男鹿市の中学教諭で、現在は県内の大潟村干拓博物館で館長を務める船木信一さん(64)が撮影した。「日本海側にも津波は来る。災害への警鐘を鳴らしたい」と2020年5月に公開した約6分間の映像。
地震は83年5月26日昼に発生した。授業中だった船木さんは突然大きな揺れを感じ、すぐに生徒をグラウンドに避難させた。グラウンド横の崖から下の日本海を見ると、大きな波が次々と押し寄せていた。
多くの犠牲者が出たことを知り、撮影を後ろめたく感じたこともあった。しかし津波の恐ろしさ、避難の大切さを伝えることが大事だと思い、その後も生徒らに映像を見せた。
船木さんは「災害は再び起こる。被害を少なくすることにつながれば」と話す。