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共同通信
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義父から性的虐待を受けた女子中学生が再生していく様子を描いた自主映画「静寂」が話題だ。監督を務めたうみの樹祢さん(46)=神戸市=自身も少女期に性被害の対象となり、実際に起きた事件をきっかけに「黙っていてはいけない」とメガホンを取った。昨年末にいったん上映を終えたが、その後も依頼が相次いだことから、今月30日から各地で再上映する。
実の娘への性的虐待事件の報道を目にしたことが、映画製作のきっかけとなった。10代の頃、母親による育児放棄で預けられた親戚の家で性的虐待を受けた記憶がよみがえった。「被害者に表現する手段や力があることを、虐待をやった人に伝えなければならない」。かつて俳優だった自分にできることは何かを考え、自主映画の製作を思いついた。被害の重大さを認識していない加害者に「映画を見て『自分のことだ』と気づいてほしかった」とも語る。
作品中、主人公の中学生が希望を取り戻していくシーンには被害者へのメッセージを込めた。