MET、略奪品対策で調査員採用へ
「もっと早く行動すべき」と批判も
メトロポリタン美術館(MET)は、150万点に上る世界屈指のコレクションのうち、略奪された美術品を特定するとともに、違法入手された美術品の取得を防ぐ取り組みを進める意向を明らかにした。コレクションの出所調査にあたる職員を新たに4人採用する。これに対し、略奪品の専門家は「もっと早く行動すべきだった」と批判している。
ニューヨークの検察当局は2022年以降、METの略奪品捜査を本格化。昨年2~7月の半年で、古代ローマやギリシャ、エジプト各時代に関する価値総額1300万ドル以上の古美術品27点を押収したほか、これまでに計60点以上を押収している。一方、国際調査報道ジャーナリスト連合は、METコレクションの1000点以上が略奪や違法取引に関連していると伝えた。
略奪品の所有権を巡る論議は欧州を中心に高まっており、大英博物館やバチカン美術館では返還の動きが出ている。全米では、ニューヨーク近代美術館(MOMA)やスミソニアン博物館、フィラデルフィア美術館などが出所調査員を既に配置し、調査にあたっている。
検察当局は「盗難品をさらに特定し、本来保有すべき国家に戻すことを奨励する」と強調。美術関係者の一人は「METは、出所不明の品物が寄贈されていたことを常に認識していた」と指摘している。 (30日、ゴッサミスト)
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