サンマ不漁に黒潮影響か

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共同通信
大型船から水揚げされるサンマ=2022年8月、北海道根室市

 2019年から続くサンマの歴史的な不漁について、本来は房総半島沖で日本沿岸から離れる黒潮の続流が黒潮大蛇行に伴って例年より北上し、三陸沿岸の海水温を上昇させたことが要因の可能性が高いと漁業情報サービスセンター(東京)の研究チームが10日までに分析した。漁に出たサンマ漁船から独自に聞き取った情報と、海水温の解析データから黒潮の変調で、日本近海では寒流内で漁獲されるサンマの漁場の移動が起きたことを明らかにした。

 国際的なサンマ争奪戦で資源不足となる中、海洋環境の変化が追い打ちをかけた形だ。センターの日原勉技師は「サンマが黒潮続流の暖水に阻まれ三陸沿岸に寄らなくなり、漁場が東に移動したことが大きい。黒潮大蛇行とサンマ不漁のメカニズムが明らかになるのは初めて」としている。

 全国さんま棒受網漁業協同組合によると、日本のサンマ水揚げ量は1980年代以降おおむね20万トン台で推移。2010年から下降気味となり、15年に約11万トンまで減り不漁が鮮明となった。