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共同通信
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和歌山地裁で2021年6月、遺産相続を巡る訴訟の審理に関与していない裁判官が判決を言い渡すミスがあり、地裁が原告ら当事者に謝罪したことが12日、分かった。判決は原告の全面勝訴だった。だが原告は判決の効力に疑念を抱いて大阪高裁に控訴し、高裁は控訴を退けたのに対し、最高裁は「民事訴訟法の根幹に関わる重大な違法がある」と判断、審理を高裁に差し戻した。
訴訟記録によると、原告は和歌山県有田川町の男性(71)。21年3月、父親の遺産に関する所有権の移転登記を求めて母親を相手に提訴した。母親が反論しなかったため同5月の第1回口頭弁論で即日結審した。
民事訴訟法は、口頭弁論に関与した裁判官が判決を言い渡すと規定している。地裁によると、弁論を担当した裁判官が判決言い渡し日に出頭できなかったという。弁論の更新手続きが必要となるが、手続きを取らずに別の裁判官が同6月、男性の請求を全て認める判決を言い渡した。地裁は手続きに瑕疵があったと認めて男性らに謝罪した。