Published by
共同通信
共同通信
旧優生保護法(1948~96年)下で障害者らに不妊手術が強制された問題を巡り、被害実態や立法過程に関する国会の初の調査報告書がまとまり、衆参厚生労働委員長が19日、両院議長に提出した。盲腸の手術とだまされたり、結婚の条件とされたりして、国策によって「子どもを産み育てる権利」を奪われた実態が浮き彫りになった。
旧法は「不良な子孫の出生防止」を目的として、議員立法により全会一致で成立。報告書によると、国会審議では批判的な意見が出された形跡がなく、75年の高校の保健体育教科書には「国民全体の遺伝素質を改善・向上させるために国民優生に力を注いでいる」と記述されていた。
手術を受けたのは計2万4993人。「本人同意なし」が65%を占めた。都道府県の審査会を開かず、書類持ち回りで実施を決めた例もあった。
自治体には6550人分の手術の記録があり、最年少は9歳の男女。児童施設による集団申請のほか、福祉施設への入所や結婚の前提条件とされたり、盲腸手術とだまして手術を受けさせたりした事例が確認された。