アメリカ妊活便り 第6回 米国の体外受精

 

ニューヨークの不妊治療クリニックGFGの
アメリカ妊活便り


第6回 米国の体外受精

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米国での不妊治療は、体外受精(IVF)/顕微授精(ICSI)から始まることが多い。もちろん年齢が若ければ、タイミング法、人工授精、とステップを踏むこともあるが、早い段階で効果の高い治療を試すことが結果的にお金と時間の節約になるという効率重視型の米国では、初めから体外受精で高い成功率を求める。

基本のプロセス
医師とのコンサルテーションや諸検査を経て体外受精を行うことになった際、まずは、より多くの卵子を採取するため、自己注射による排卵誘発を行う(約10〜12日間)。さらに、採卵2日前には「トリガーショット」と呼ばれるホルモン薬投与によってLHサージ(黄体形成ホルモンの分泌)と同じ状態を作り、卵子を十分に成熟させて採卵。細いガラス針を使い、採取しておいた男性の精子を直接卵子に注入し、受精を試みる。  

その後、無事受精した受精卵(胚)をラボで培養。胚は数日掛けて細胞分裂を繰り返し、子宮に移植するのに適した状態にまで成長させる。成長した胚は凍結保存し、移植のタイミングに合わせて融解して子宮に移植。無事着床し、”妊娠”という奇跡の瞬間を待つ。

PRPとPGT-A
これらプロセスの過程において、さらに妊娠成功率を高めるための一策が組み込まれることもある。  

一つは、自分自身の自然治癒力を利用した再生医療「PRP(多血小板血漿)」。加齢などにより卵子数が少ない場合、自身の血小板に含まれる成長因子「PRP」を抽出し、卵巣に直接注入することで卵巣機能を若返らせ、より多くの成熟卵子の採取が期待される。また、子宮内膜の厚みが原因で流産を繰り返す人にもPRPは有効。体外受精を行う数ヶ月前に、子宮に直接注入して子宮内膜の厚みを促し、着床率や妊娠継続を助長する。  

もう一つは、着床前診断(PGT-A)。35歳以上の女性からの受精胚の6割以上に染色体異常があると言われている。培養した受精卵の中から染色体異常のない胚だけを識別して凍結、移植することで、流産を減らし、体外受精の成功率、着床率、妊娠率、そして疾患のない健康な子供の出生率を飛躍的に向上させるとして、PGT-Aは米国で積極的に取り入れられている。

個々に適した治療こそ
ただ、体外受精で誰もが妊娠できるわけでは決してなく、個々に適した治療プロトコルが必要不可欠ということは言うまでもない。当クリニックでは、個々に適した用量のホルモン薬使用、PRPなど必要に応じた事前治療の導入。サプリメントや鍼治療といった代替医療が人によっては効果を現すため、治療に組み入れることもある。また、卵子の成長が良くない人へは、卵子の成長を助長すると言われる「HGH(ヒト成長ホルモン)」を体外受精の過程で投与することで、目に見える効果も得ている。  

一人ひとりの状態を理解し向き合ってくれる医師、自分の状態を医師にしっかり伝えられる環境が整ったクリニックで受ける治療こそが、体外受精成功への近道となるだろう。

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