「世界経済は分断の危機に直面」

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共同通信

 西村康稔経済産業相は27日の閣議に2023年版の通商白書を報告した。米中ハイテク覇権争いの激化などを念頭に「世界経済は分断の危機に直面している」とし、深刻な分断は民主主義勢力、権威主義国の両陣営に大きな打撃を及ぼすと指摘。世界経済の機能回復に向け、ルールに基づく国際貿易秩序や信頼できるサプライチェーン(供給網)の構築、新興国や途上国を指す「グローバルサウス」との連携強化に取り組む必要性を訴えた。

 白書は世界経済のデカップリング(切り離し)に関する日本貿易振興機構アジア経済研究所の試算を紹介した。それによると、互いに関税率換算で100%の非関税障壁を設ける深刻な想定では、世界全体への影響として30年に国内総生産(GDP)を7.9%押し下げると分析。国別のGDPが日本で11.6%、米国は12.0%、中国も9.4%のマイナス影響が出ると見積もった。

 白書は対立する両陣営が大きな打撃を受ける一方、中立を保って双方と貿易を続けるグローバルサウスが「漁夫の利」を得て高い成長を維持すると指摘した。