知床事故、船長が経験不足

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共同通信
観光船「KAZU 1」(運輸安全委員会提供)

 北海道・知床半島沖の観光船「KAZU 1(カズワン)」沈没事故で、運輸安全委員会は29日、関係者や有識者からの意見聴取会を7月26日に開催すると発表し、資料となる調査報告書案を公表した。運航会社「知床遊覧船」では新型コロナウイルス禍の影響で船長経験者らを雇い止めにし、2021年以降、経験豊富な者がいなくなって船長が必要な知識を教わる機会がなくなっていたことが、関係者らの証言で明らかになった。

 報告書案は昨年12月の経過報告公表後に確認された事実を付け加えたもので、知床遊覧船の桂田精一社長(60)やカズワンの前船長、同業他社の社員らの証言などを盛り込んだ。安全委は聴取会で意見を述べる「公述人」を募集。聴取会での議論を経て最終報告を取りまとめる。

 報告書案によると、桂田社長はコロナ禍で20年に売り上げが約3分の1となって資金繰りが厳しくなり、船長経験者らを雇い止めにしたと証言。死亡した豊田徳幸船長=当時(54)=は20年7月に採用され、甲板員を約4カ月経験して船長になった。