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共同通信
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1780年の千島列島・ウルップ島地震に伴い、北海道東岸にまで及んだと国際データベースに記録されている遠地津波は、気象庁報告書の誤りで生まれた幻の津波だったことが1日、気象庁気象研究所(茨城県つくば市)の林豊室長の調査で分かった。地震後にウルップ島を訪れたロシア人が、アイヌ民族ら現地人と始めた交易が道東にまで及んだとの記録を「津波が波及した」と誤解釈したことが原因とみられると結論付けた。
調査結果は7月、国内の歴史地震研究誌に掲載される。この津波は、米海洋大気局(NOAA)の国際津波データベースに登録されているが、林氏の調査に基づき、6月下旬に修正された。
林氏が過去の史料を網羅的に調査したところ、伝聞情報ではない直接の記録はウルップ島東岸で被災したロシア船の航海日誌のみで、松前藩や江戸幕府の記録を含め、いずれにも北海道本島への津波の記載はなかった。