眼科院長パワハラ、逆転労災認定

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共同通信

 福岡市の眼科に医療事務として働いていた元職員の30代女性が19年に適応障害を発病したのは、院長のパワハラが原因だとして、国の労働保険審査会が福岡中央労働基準監督署の処分を取り消し、労災と認める裁決をしていたことが2日、女性側への取材で分かった。

 厚労省は20年5月、「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正し、パワハラと心理的負荷の関連を明記。代理人の八木大和弁護士は「労基署の処分は旧基準に沿った判断だったが、裁決は新基準に基づいて覆した」と評価した。

 室井純子審査長は裁決で、職場環境の急激な悪化とパワハラを認め、業務による強い心理的負荷と認定した。

 女性は「やっと報われた。パワハラで苦しむ人が減ってほしい」と話した。

 裁決書などによると、19年3月、院長が患者向け手術説明会を勤務時間外に開くと通告し、スタッフは連名で延期の要望書を提出した。院長は提出を女性が主導したと考え、机をたたいて威嚇し、大声で叱責、罵倒し、ロッカー使用などを禁じた。女性は出勤できなくなり、適応障害と診断された。