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共同通信
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政府が、昨年9月の安倍晋三元首相の国葬記録集を8月中にまとめる見通しとなったことが分かった。関係者が5日、明らかにした。今後、同様の葬儀を執り行う際の参考資料とするのが目的。準備作業や当日の流れを事務的に記載する一方、国葬そのものの是非や、昨年実施した問題点を洗い出す有識者ヒアリングには触れない。政府は賛否が分かれた国葬を巡り、十分な検証をしないまま一連の事務を終える。
安倍氏の国葬は、決定過程での国会関与の在り方や実施基準の曖昧さ、約12億円の経費の妥当性を巡って批判が続出。有識者ヒアリングでは「国民の間に対立を残した」「超党派の支持が必要だった」などの指摘があった。記録集にこうした意見を盛り込まないことで、国葬への疑義が政府の公式な記録として後世に残らない可能性がある。内閣府の国葬事務局は記録集の編集をもって事実上解散する。
岸田文雄首相は昨年9月の国会審議で、国葬の検証を実施する意向を表明。昨年12月に有識者ヒアリングに基づく論点整理を公表し、今年1月に国会提出した。