巨大ダム決壊、死者100人超

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共同通信

 【ミコライウ共同】ウクライナ南部ヘルソン州カホフカ水力発電所の巨大ダム決壊から6日で1カ月。ダム湖は琵琶湖の3倍以上の広さで、洪水はウクライナとロシア双方の支配地域をのみ込んだ。死者は100人を超え、数万戸が浸水した。インフラの損失など被害総額は20億ドル(約2890億円)とも見積もられ、農業や環境にも深刻な爪痕を残している。

 ダム下流域はドニエプル川を境に南側がロシアの占領地、北側がウクライナの統治下にある。ロシア側の方が低地で、浸水面積は広範囲に及んだ。ダムはクリミア半島のほか、ウクライナ南部の水源で、ザポロジエ、ミコライウ、ヘルソン各州などでの給水に影響している。

 南部ザポロジエ原発はダムから冷却水を取っていた。現地視察したIAEAのグロッシ事務局長は「差し迫った危険はない」とする一方、冷却水には限りがあると主張した。

 ロシアメディアは5日、洪水の死者が50人になったと報じた。ウクライナ軍はロシア側支配地域で6月24、25両日に計60人の遺体が見つかったとの見方を示した。