利上げ「慌ててしない」

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共同通信
インタビューに応じる日銀の内田真一副総裁

 日銀の内田真一副総裁(60)は6日までに共同通信の単独インタビューに応じ「慌てて利上げをしていく環境には全くない」と述べ、現行の大規模な金融緩和策を継続する方針を示した。現在は物価上昇率を2%で安定させる目標の実現が見通せないとして、金融引き締めに転じれば「2%を実現できなくなってしまうリスクの方がはるかに大きい」と語った。

 内田氏は日銀の企画局長や企画担当理事として金融政策運営に深く関わり、3月20日に副総裁に就任した。副総裁として報道機関のインタビューに応じたのは初めて。

 日銀は賃金と物価がそろって上昇する好循環の実現を目指している。内田氏は経済の現状について、コスト上昇分を価格に転嫁する動きや、春闘で大幅な賃上げ回答が相次いだことを挙げ「企業の賃金・価格設定行動には変化の兆しが出てきた」と指摘した。

 今後は「こうした変化の芽を大事に育てていくことが重要だ」と強調。賃上げの動きが来年以降も定着するように「金融緩和を継続することで経済をしっかりと支えていきたい」と述べた。