濁流や土砂崩れ、住民が恐怖語る

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共同通信
住宅などが巻き込まれた福岡県久留米市田主丸町の土砂災害現場=10日午後4時5分(共同通信社ヘリから)

 濁流がごう音を立て流れ、家屋をのみ込んだ。記録的な大雨に見舞われた福岡、佐賀両県では10日、各地で土砂災害が発生。「こんな被害は初めて」。住民は口々に恐怖を語った。

 福岡県久留米市田主丸町竹野では、裏山が崩れて5人が搬送されるなど大きな被害が出た。現場は付近一帯が冠水。近くに暮らす矢野尚子さん(85)は、避難所の小学校に続く道路が流木や巨石などで埋まり、身動きが取れず自宅にとどまった。「先祖代々の集落で安全だと思っていたのに。改めて自然の恐ろしさを感じた」と語った。

 現場近くの公民館に避難した吉武寿純さん(65)は「朝、ゴロゴロと雷のような音がして外を見ると、土石流が起きていた」と話す。「いまだに現実感がなく、まさかという感じ」と虚空を見つめた。

 3人が巻き込まれ、2人と連絡が取れない佐賀県唐津市。土砂が山の中腹から木々をなぎ倒し、住宅に流れ込んでいた。30年以上付近に住む50代の女性は「夜中に『ゴゴゴ』と振動を感じた。これまでも冠水はあったが、土砂崩れは初めて」と声を震わせた。