栄養失調7億人、FAO報告書

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共同通信

 【ローマ共同】国連食糧農業機関(FAO)などは12日、2022年に世界の最大7億8300万人が栄養失調状態だったと推定する報告書を公表した。21年からほぼ横ばいだった。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で食料・エネルギー価格が高騰するなどし、栄養状態の改善に停滞をもたらしていると分析した。

 報告書は気候変動や紛争、景気の悪化が食料安全保障を脅かし続けている現状を「ニューノーマル(新常態)」と表現。国連は30年までの飢餓撲滅を目標としているが、達成には「農業・食料システムを変革し、努力を倍加させる以外に選択肢はない」と強調した。

 22年はコロナ禍からの経済回復が進み、増加傾向には歯止めがかかった。だが、栄養失調状態の人はコロナ禍前の19年に比べ1億人以上多いと指摘。地域別ではアジアや中南米で改善がみられる一方、アフリカでは5人に1人が栄養失調に陥っているとしている。

 子どもへの影響として、5歳未満のうち1億4810万人が発育阻害状態にあり、4500万人が重度の栄養失調状態にあるとした。