連載1041 NYも東京も株価上昇が止まらない。 しかし、もうパーティを切り上げるときでは? (中1)

連載1041 NYも東京も株価上昇が止まらない。
しかし、もうパーティを切り上げるときでは? (中1)

(この記事の初出は2023年6月20日)

 

ドル換算日経平均はたいして上がっていない

 日経平均の上昇と反比例して、円はどんどん安くなっている。昨年12月のドル円150円から130円まで戻したというのに、ここにきてまた140円を突破した。
 ドル円ばかりではない、ユーロ円も150円を突破し、円はほぼあらゆる通貨に対して全面安となっている。
 そこで、日経平均株価をドル換算して、これまでの経過を見てみよう。
 次が、コロナ禍が始まってからの日経平均株価(月間平均値)、ドル円、ドル換算株価の半年ごとの推移だ。2020年3月に日経平均は大暴落したので、そのときは( )で、また2022年10月にドル円(月間平均)は最安の147円を記録したので、そのときも( )で示した。

[日経平均とドル円、ドル換算株価の推移]
2020年1月  109円 2万3205円 212.8
(2020年3月 109円 1万8917円 152.4)
2020年6月  107円 2万2229円 207.7
2020年12月 104円 2万7444円 263.8
2021年1月  104円 2万7663円 266.0
2021年6月  110円 2万8792円 261.7
2021年12月 113円 2万8792円 254.7
2022年1月  115円 2万7002円 234.8
2022年6月  133円 2万6393円 198.4
(2022年10月147円 2万7587円 187.6)
2022年12月 135円 2万6095円 193.2
2023年1月  130円 2万7327円 210.2
2023年6月19日 141円 3万3370円 236.7

 こうやってドル換算してみると、コロナ禍が始まった2020年1月平均は、212.8ドルで、今月、2023年6月19日は236.7ドルだから、それほどは上がっていないということになる。
 ちなみに、この世界のすべてのもののバリュー(価値)は、基軸通貨であるドルでいくらかで決まる。それ以外の通貨でのバリューは限定的なものに過ぎない。

チャートで見る株価下落の3パーターン

 このように見てくると、NY株も日本株もバブルであって、じきに大きく崩れるのではないかと思える。株式投資は、そろそろ手仕舞いではないかと思える。
 これは経済ウオッチングをしてきた私の勘であって、理屈ではない。
 投資家やアナリストは、しばしば株価下落のサインをチャートに求める。
 たとえば、「ヘッド・アンド・ショルダー」。3回の高値(天井)を付けて、その3回とも売り方に押し戻されるチャートが形成されたとき、真ん中(高値2を「頭=ヘッド」、左右(高値1、高値3)を「肩=ショルダー」と見立て、これが出現したときに株価は暴落するという。
 また、「ダブル・トップ」というサインもある。同じような高さの山(高値)=トップが谷を挟んで2回形成される(ダブル・トップ)と、その後、株価は下落するという。
 さらに、「ソーサー・トップ」というサインもある。株価の高値圏での期間が比較的長く、小さな上げ下げを繰り返している間に、コーヒーカップの下に敷かれる皿(ソーサー)をひっくり返したようなチャートが形成されることを言い、このときも株価が下落するという。
 しかし、チャートだけで株価崩壊を判断することはできない。言えるのは、株価が上がるのは、「買いたい投資家が売りたい投資家より多い」からで、下がるのは「売りたい投資家が買いたい投資家より多い」からであり、これほど当たり前のことはない。しかし、ある時点で、どちらが多いかは誰にもわからない。


(つづく)

この続きは7月14日(金)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

 

 

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