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共同通信
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政府は2023年版防衛白書で、ロシアのウクライナ侵攻や中国の軍事動向を念頭に「国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、新たな危機の時代に突入しつつある」と国際秩序への挑戦に危機感を示した。日本周辺の安全保障環境も悪化しているとして、他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)保有の必要性を強調。24年度予算の概算要求で防衛費増額を図る。
浜田靖一防衛相は28日の記者会見で、反撃能力に関する記述について「保有の背景や必要性について分かりやすく理解できるよう、必要な記載に努めた」と述べた。
白書では、反撃能力を「侵攻を抑止する鍵」と表現。周辺国のミサイル運用能力が飛躍的に向上しており、迎撃を目的とした現在の防衛網での対応が「難しくなりつつある」と指摘。長射程の「スタンド・オフ防衛能力」を活用するとした。
先制攻撃は許されないとしたが、具体的な発動のタイミングや日米の役割分担など、運用の全体像は明かさなかった。