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共同通信
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韓国政府の人権侵害調査機関「真実・和解のための過去事整理委員会」は30日までに、広島で被爆した後に韓国で「北朝鮮のスパイ」として約13年間拘束、投獄された韓国人男性について冤罪の可能性の調査を開始した。捜査記録や公判調書から「拷問があったとみられる」などと判断した。
韓国では軍事独裁政権下の1970~80年代、多数の在日韓国人留学生らが拷問や嫌疑捏造で「スパイ」とされたが、被爆者のケースが判明するのは初めてとみられる。
男性は終戦前に広島に住んでいた金良珍さん(93)。委員会は7月6日、金さんが住む南部済州島で本人から事情を聴き、金さんは「スパイはしていない」と訴えた。
戦後に住んだ大阪で朝鮮総連関係者から「革命家として韓国へ行け」と言われたという。「韓国で(北朝鮮に関わることを)何もしなければいい」と考え、64年に故郷の済州島に帰って農業を営んだ。だが72年に当局から突然、日本で北朝鮮関係者から指令を受けた「スパイ」だとして連行され、国家保安法違反罪などで懲役15年が確定。模範囚として85年ごろに出所した。