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共同通信
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旅行の「ついでに」登らないで―。十分な準備をしないまま、半袖や短パンで富士山を登ろうとする外国人旅行者への対応に、静岡県が苦慮している。山小屋を予約できず、トイレで一夜を過ごしたり、屋外で寝泊まりしたりといったマナー違反も横行。県は、注意点をまとめた英語の動画を配信するなど対策に乗り出しているが、特効薬は見つかっていない。
「マナーがもうめちゃくちゃ。(一睡もせずに山頂を目指す)弾丸登山は本当にやめてほしい」。8合目で山小屋を営む男性がため息をつく。
世界文化遺産登録10年と新型コロナウイルス感染症の5類移行が重なった今年、富士山では旅行者による無謀な登山やマナー違反が大きな問題になっている。特に観光のついでに登ろうとする外国人の存在に、多くの関係者が頭を抱えている。
山小屋を経営する男性によると、7月、予約を取れなかった2人組の外国人が腹痛になったふりをして交代でトイレを“占拠”したことがあった。男性は「暖を取っていたのではないか。宿泊客がトイレを使えず、問題になった」と憤る。