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共同通信
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2021年8月に走行中の小田急線車内で乗客10人が包丁で刺されるなどして重軽傷を負った事件は6日で発生から2年。逃げ場のない車内で乗客の安全をどう守るか。小田急電鉄は「万が一」への備えを進め、危機対応能力の向上を図る。安全対策の担当者は、事件の経験や教訓を広く共有する必要性を強調する。
3日午前、小田急と警視庁新宿署は走行中の特急ロマンスカー内で、刃物を持った男が乗客を人質に取ったと想定した訓練に臨んだ。「緊急事態が発生しています」と車内アナウンスが流れ、乗客に避難を呼びかけ。新宿駅に到着すると、駆けつけた署員が刺股で犯人役の男を取り押さえた。
21年10月には京王線でも電車内で乗客襲撃事件が起き、鉄道各社が訓練に力を入れる契機に。小田急安全・技術部の吉久治朗課長は「それまで捨て身の犯行を想定した訓練は、ほとんどしたことがなかった」と悔やむ。
小田急では、約千人の乗務員らに無差別事件を想定した訓練や、事件に関する講習などを実施した。