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共同通信
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終戦から78年となった15日、政府主催の全国戦没者追悼式が日本武道館で開かれ、遺族らが犠牲者を悼んだ。防衛力増強を進める日本の安全保障政策が岐路に立つ中、列島各地は平和への祈りに包まれた。戦争体験者や遺族は高齢化し、惨禍の記憶と不戦の願いを次代にどう継承するのかが課題だ。
式典は新型コロナ感染防止に慎重を期し、4年連続で縮小開催。台風7号による交通機関への影響などから10府県の遺族が欠席し、参列者数は1855人となった。事前に参列意向を示した遺族は戦後生まれが初めて4割を超えた。
岸田文雄首相は式辞で、今年もアジア諸国への加害責任には触れずに「積極的平和主義の旗の下、国際社会と手を携える」とし、戦没者の遺骨収集にも力を入れると述べた。天皇陛下は「深い反省」に触れ、世界の平和と国の発展を祈るお言葉を読み上げられた。
遺族代表で熊本県の横田輝雄さん(83)は、追悼の辞でロシアのウクライナ侵攻に言及。「現地の惨状を目の当たりにするにつけ、かつての戦争を思い出さずにはいられない」と憂い、体験を語り継ぐと誓った。