Published by
共同通信
共同通信
【ワシントン、北京共同】世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は16日、米政府が鉄鋼などに課した関税に対する中国政府による報復関税を不当とする判断を下した。米国の訴えが認められた形で、パネルは中国に対して是正を求めた。
当事国は不服がある場合は上訴できる。しかし、上級委員会は米国などの反対で委員の補充ができず機能不全になっており、決着は見通せない。
米通商代表部(USTR)は声明で今回の判断を歓迎した。中国商務省は談話で「根本的な原因は米国側の一国主義と保護主義にある」として米国に高い関税の適用をやめるように求めた。
トランプ前米政権は2018年3月、安値による鉄鋼やアルミニウムの輸入の大幅増が安全保障上の脅威になっているとして、鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課すことを決定。中国は対抗措置として米国製品に報復関税を課した。
パネルは中国の報復措置について、他国に認めている低関税を米国製品に適用しないことはWTO協定に反すると判断した。一方で、WTOは22年12月、米国の鉄鋼などへの関税についても不当との判断を下している。