山火事で寺炎上、声聞こえるよう

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共同通信
自身の寺が燃える写真を載せた地元紙マウイ・ニュースを手にする広中愛さん=17日、米ハワイ・マウイ島カフルイ(共同)

 【ラハイナ共同】米ハワイ・マウイ島での山火事で壊滅的被害を受けた島西部ラハイナ。避難生活が続く浄土真宗本願寺派ラハイナ本願寺の僧侶、広中愛さん(46)は、火災発生を伝えた地元紙を大切に持っている。1面トップは、身を尽くしてきた寺が燃えさかる炎に包まれる写真。「最期の声が聞こえるようだ」。避難してから初めて、きちんと涙がこぼれた。

 火事が発生した8日は、朝からこれまでにない強い風が吹いていた。週末には寺で恒例の盆踊り大会が予定されており、準備に忙しい時期。山火事は何度もあったが市街地まで延焼することは一度もなかった。強風を懸念し、念のため2日分の着替えを持って、妻と子どもたちと車で友人宅へ避難するため寺を出た。

 翌朝には戻ってくるつもりだった。寺の全焼を知らせたのは、翌9日の地元紙マウイ・ニュースの写真だった。移住した2010年からの全てが詰まった場所。「悲しいけど、撮ってくれた記者には感謝しかない」

 周辺で捜索活動が続いており、いつ自分の目で寺の様子を見られるのか見通しはない。

炎に包まれるラハイナ本願寺(右奥)=8日、米ハワイ・マウイ島ラハイナ(Matthew Thayer/The Maui News提供・AP=共同)