朝鮮人虐殺、事実調査を

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共同通信
インタビューに応じる梓沢和幸弁護士

 1923年の関東大震災後に起きた朝鮮人虐殺。朝鮮人による暴動があったとする流言を当時の内務省などが確認しないまま伝えた結果、虐殺を誘発したとして、日弁連が国に責任を認めて謝罪するよう求める勧告書を2003年に提出したが、いまだに回答はない。関わった弁護士は「国は今からでも事実を調査すべきだ」と訴える。

 「責任を認めるまで日本と朝鮮の真の友好親善はあり得ない」。虐殺を目撃し、日弁連に人権救済を申し立てた故文戊仙さんの娘尹峰雪さん(81)=千葉市=は憤る。文さんは少女だった当時の体験がトラウマとなり、しばらく家族にも語らなかったが、1995年の阪神大震災の際、「また朝鮮人が日本人に殺される」と泣き叫び、当時の出来事を話すようになった。

 日弁連の人権擁護委員会は文さんに聴取したほか、公的資料や刑事裁判の判決文を約4年にわたって調べた。朝鮮人が放火をしているなどとする誤った情報が内務省から伝わり、自警団による虐殺を招いたとし「国は責任を免れない」とまとめた。