上海で逮捕の邦人男性起訴

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共同通信
中国・上海の日本総領事館=2014年(共同)

 【上海共同】中国上海市で昨年6月に当局に逮捕された50代の日本人男性が国家の安全に危害を与えた罪で今月中旬に起訴されたことが分かった。日本外務省関係者が30日、明らかにした。東京電力福島第1原発の処理水海洋放出などを巡り日中関係が悪化する中、新たな懸念材料になりそうだ。

 関係者によると、中国側は具体的な起訴内容を明らかにしていない。男性は2021年12月に上海で拘束されていた。

 中国ではスパイ行為の定義拡大を柱とする「反スパイ法」の改正案が今年7月に施行された。だが、どのような行為が摘発対象となるかが不明確で、日系企業の駐在員らに懸念が広がっている。

 中国は14年以降、反スパイ法や国家安全法の制定を通じて社会の統制を強め、外国人も厳しく監視している。日本外務省によると、15年5月以降、中国で拘束された邦人は計17人に上り、起訴されたのは11人目。北京市でも今年3月、アステラス製薬の現地法人幹部が反スパイ法に違反した疑いで拘束されている。