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共同通信
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生息域外から持ち込まれるなどした「侵略的外来種」による経済的損失が、世界で少なくとも年4230億ドル(61兆8千億円)に上るとの報告書を生物多様性に関する国際的な科学者組織が4日、発表した。食料の供給をはじめ人が享受する自然の恵みを大きく損なっているほか、生態系に被害を与えており、侵入予防や早期防除の強化が必要と訴えている。
侵略的外来種は、外来種のうち地域の自然環境に特に大きな影響を与える恐れがある種を指す。国連の関与で設立された科学者組織「生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」が今回、初の報告書をまとめた。
報告書によると、世界でこれまでに3万7千種以上の外来種が貿易や人の移動に伴い本来の生息域ではない場所に侵入した。うち3500種以上は侵略的外来種だ。世界で絶滅した動植物の6割は、侵略的外来種が単独の原因か、複数ある原因の一つとして関与していた。特に島しょ部は被害が大きい。