トリチウムは制限値以下と説明

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共同通信
ウィーンのIAEA本部

 【ウィーン共同】国際原子力機関(IAEA)の定例理事会が11日始まった。グロッシ事務局長は冒頭、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に関し、最近実施した原発近くの海水のサンプリングと分析では放射性物質トリチウムの水準が日本の制限値以下だったと説明。海洋放出について「正確に伝わるように」取り組んでいると訴えた。

 理事会では、処理水を巡り、日本側が国際基準に基づいた放出であることを説明する一方、中国が改めて反発する可能性がある。グロッシ氏は、海洋放出の期間中「われわれの独立した監視作業は続く」と述べた。

 中国は処理水放出を批判しているが、欧州外交筋は「中国のフェイクニュースを受け入れる国はない」と指摘。中国の主張が大きく支持を広げる状況ではなさそうだ。理事会は15日までの予定。

 IAEAは7月、放出計画は「国際的な安全基準に合致する」との包括報告書を公表。日本側は報告書を踏まえデータを示しながら対応について訴えるとみられる。