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共同通信
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日本製鉄は30日、瀬戸内製鉄所呉地区(広島県呉市)の全設備を休止する。呉地区は戦艦大和を造った旧日本海軍の工廠跡地に1951年建設され、日鉄に吸収された旧日新製鋼の主力製鉄所として地元経済を長く支えてきた。国内需要の減少など厳しい事業環境の中で、2020年2月に閉鎖の方針を決め、21年9月に高炉を休止していた。72年の歴史に幕を下ろす。
今月14日に製品の出荷作業を終えた。16日にはJFEスチールも川崎市にある東日本製鉄所京浜地区の高炉を休止しており、鉄鋼業の縮小を象徴する動きが続く。需要が落ち込んでいる背景には人口減少、販売先のメーカーによる海外での生産拡大がある。
日鉄の高炉は今月末現在で国内11基体制。24年度末には東日本製鉄所鹿島地区(茨城県鹿嶋市)の1基も休止を予定しており、粗鋼生産能力は年間5千万トンから4千万トンに減少する。電気自動車(EV)の主要材料となる電磁鋼板や、軽くて強いハイテン(高張力鋼板)といった高機能製品の生産を強化する。