「NYで生き残れない」と中低所得市民
所得格差が過去最大 年収で53倍の差
ニューヨーク市が新型コロナ禍からほぼ回復した今、市民間で所得格差が拡大している。28日、ニューヨーク・タイムズが報じた。
調査会社「ソーシャル・エクスプローラー」が発表した2022年の一世帯当たりの所得統計によると、マンハッタン区で上位20%の年収平均は54万5549ドル。下位20%平均で1万259ドルと、高所得者は低所得層の53倍の年収を得ていることが分かった。この格差は統計を取り始めた06年以降最大。ブルックリン区やブロンクス区は、格差の大きい郡の全米トップ10位内にある。
市内では賃金は上昇傾向にあるが、その恩恵を最も受けているのは高所得者層だ。失業率が低下したといっても、新規雇用の多くは低賃金。エントリーレベルの職種では所得の上昇がインフレに追いつかず、市内の最低賃金も19年以来、時給15ドルに据え置かれたままというのが現状だ。
所得中央値は7万5000ドルで、19年から約7%減少。この減少率は全米平均の4倍で、中間層も苦境に直面している。清掃職員のロジャー・ガニングさん(50)は「時給22ドルだが、この街では生き残れない」と表情は暗い。就職やスキルアップを支援する非営利団体「ニューヨーク市就職・トレーニンク連合」のグレゴリー・モリス会長は「『ニューヨークは働く人々の街』と市長は言うが、誰のことを指しているのか」と憤りを隠せずにいる。
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