所得減税、年末具体化へ

10/20/2023

　岸田文雄首相は20日、自民党の萩生田光一政調会長ら与党幹部と官邸で面会し、所得税減税も含め税収増の還元策を検討するよう指示した。減税は期限付きとする方向。11月2日の閣議決定を目指す経済対策の柱とし、具体的な減税規模や期間、対象は年末にかけて与党の税制改正議論で詰める。政府が賃上げの旗を振る中でも依然として賃金が物価上昇に追い付かず、家計の負担感が強まっていることに対応する姿勢を示す狙いがある。

　所得税を納めていない低所得や高齢の非課税世帯には減税の恩恵が及ばないため、給付での対応を検討する。減税は法改正を伴うため、年明けの通常国会を経て実現した場合でも、国民が納税額の減少を実感できるのは早くても来春以降になりそうだ。

　萩生田氏は記者団の取材に、所得税減税は「本格的な賃上げにつなぐまでの間、近年の税収増を国民の皆さんにお返しするのが目的だ」と語った。防衛力強化のための増税について、減税と同時に実施すると国民に分かりにくくなるとして「来年はやらない。やらない制度設計を作りたい」とも述べた。