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共同通信
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東京、栃木、新潟など9都県の14市区町が、大規模災害時、被災者をお互いに受け入れる協定を結んだ。高齢者が主な対象で、避難先ではホテルや旅館に滞在してもらう。持病悪化などによる「災害関連死」を防ぐ狙い。多数の市区町村で広域避難協定を結ぶのは全国初だという。
協定では災害発生から3日後、避難所や自宅で過ごす75歳以上の後期高齢者などに対し、広域避難の希望者を募る。受け入れ自治体に1週間後をめどにバスなどで迎えに来てもらい、2週間程度、ホテルや旅館に滞在してもらう。費用は被災自治体が負担する。
背景にあるのは30年以内の発生確率が70%とされる首都直下地震への懸念だ。東京都の想定では板橋区内で最大約10万人の避難者が出る見込み。停電でエアコンが使えず、ごみやし尿の処理も滞る恐れがある。区の担当者は「生活環境の悪化や感染病のまん延で関連死が急増しかねない」と危機感を募らせる。
14市区町はこれまで災害時の応援職員派遣や物資支援などで協定を結んでいたが、板橋区の呼びかけで8月、広域避難の項目を加えた。