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共同通信
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14億人を抱える中国で国内旅行客が観光地に殺到し環境に影響が出る「オーバーツーリズム(観光公害)」が社会問題になっている。当局は顔認証システムや無数の監視カメラで個々人の行動を追跡。軍傘下の武装警察も動員し、日本を含む世界を悩ます問題に強硬措置で挑む。悪質行為は別の観光客により交流サイト(SNS)にさらされるリスクも。マナーは大幅に向上したとされるが「やり過ぎ」との批判も上がる。
国慶節(建国記念日)に伴う連休期間に入った10月上旬、落差77メートルのアジア最大の滝を望める貴州省安順市の景勝地、黄果樹で迷彩服に身を包んだ武警が隊列を組み観光客に目を光らせていた。
当局が緊張を高めたのは約3年にわたった新型コロナウイルス禍での行動規制が解除され、連休中に人々が景勝地に殺到すると見込んだためだ。実際、国慶節連休(9月29日~10月6日)の国内旅行客数は延べ8億2600万人に上り、コロナ前の2019年の同期比4.1%増となった。