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共同通信
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旧優生保護法(1948年~96年)下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして国家賠償請求訴訟を起こし、25日に仙台高裁での控訴審判決に臨む原告の男性が、実名を明らかにした。男性は千葉広和さん(74)。「良い判決が出ることを願っています」。判決の日は、75歳の誕生日でもある。
各地で起こされた旧法訴訟では、根強い偏見差別の影響から実名を明かす人は少ない。千葉さんには、自身の名前や顔を見て、同じ施設で被害に遭った仲間に名乗り出てほしいとの思いがある。
軽度の知的障害がある千葉さんは、仙台市内のグループホームで暮らしている。秋田県で生まれ育ち、17歳の時、宮城県の知的障害者の職業訓練施設に入所。翌年、施設職員に仲間と連れ出され、説明がないまま手術を受けさせられた。
退所後は木工所や養豚場、農園で働いた。殴られたり、暴言を吐かれたり、食事が少なく栄養失調になったりした。
現在のグループホームを運営する支援者との出会いが転機になった。約15年前から、絵の創作に打ち込む。「心が落ち着きます」。