食料輸出規制の乱用防止を提案

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共同通信
スイス西部ジュネーブにあるWTO本部=2022年10月(ロイター=共同)

 政府がWTO(世界貿易機関)農業交渉で食料輸出規制の乱用防止を提案したことが21日、分かった。ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的な食料価格の高騰により自国内での消費を優先させる保護主義が高まっている。日本は食料安全保障の強化に向けた対抗措置として、輸出規制導入の条件や手順を明確にすることを目指す。

 日本は食料自給率が低迷しており、需要を賄うには、輸入に頼らざるを得ない。輸出規制をする国がさらに広がれば、必要な食料が手に入りにくくなる恐れもある。インドなど一部の国がコメの輸出を制限したことで、実際に影響を受けている国があるとされる。こうした事態を防ぐためにも、政府はWTOでのルール作りを急ぐ。

 現行のWTO協定では、輸出規制は危機的な食料不足を防止することなどを条件としている。だが基準が曖昧なため、突然規制に踏み切る国もあるという。日本の提案は、規制を導入する国の経済指標など客観的な情報について議論し、条件や手続きを明確にすることを求めた。