対馬の仏像、日本の所有権が確定

Published by
共同通信
観音寺の長崎県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」=2013年1月、韓国・大田(聯合=共同)

 【ソウル共同】長崎県対馬市の観音寺から盗まれ韓国に持ち込まれた仏像を巡り、かつて倭寇に略奪されたとして所有権を主張する韓国中部瑞山の浮石寺が、像を盗品として保管する韓国政府に引き渡しを求めた訴訟で、韓国最高裁は26日、浮石寺の上告を棄却した。観音寺の所有権を認めた二審判決が確定する。

 二審の大田高裁は2月、浮石寺への引き渡しを命じた2017年の一審の地裁判決を取り消し、同寺の訴えを退けた。観音寺の所有権を認める一方、日本側が求める返還については、韓国政府が国際規範を考慮して検討すべきだと指摘した。

 仏像は長崎県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」で、12年に盗まれた。韓国当局が窃盗グループを摘発し像を回収したが、浮石寺が引き渡しを求めて16年に提訴した。

 高裁は同寺に関し、14世紀に像を作った「瑞州浮石寺」と同一とは認定できないと指摘。倭寇により日本へ不法に持ち込まれた「相当の蓋然性」があるものの、観音寺が一定期間平穏、公然と持つことで所有権が認められる民法上の「取得時効」が成立していると判断した。