帰国子女生の大きなサポートを担う日系学習塾、主要教科の指導や入学試験対策に留まらず、子ども達が前向きに学習を継続できるよう、サポート方法にも工夫が見受けられます。各塾での取り組みなどをご紹介します。
Z会・栄光ラーニングセンター
―塾の特徴をお伺いします
一人ひとりに寄り添った指導です。その結果、当塾に通う子ども達は、自分の目標を達成するために努力できるようになります。子ども達が、当塾で学習する理由は様々です。「受験で志望校合格」「日本に帰った時に学校の勉強についていく」「帰国はしないが、将来日本語も使えるようになりたい」「ただ純粋に数学が好き」など、100人いれば100通りの理由があります。そういった子ども達に、画一的な指導をしていては、全員が目標を達成することはできません。ですから当塾では、一人ひとりに寄り添い、個々の目標達成にベストな方法を考えながら指導を行なっています。
具体的には、ある学年の国語のクラスでは、子ども、保護者と話し合い、講師がそれぞれに合った漢字テストを用意しています。「帰国までに遅れを取り戻したい」「漢字検定を取得する」「志望校の試験によく出題されるものから学習する」など目的が異なります。他にも、クラスの中で宿題の範囲や量が違うこともありますし、個別授業では、弱点の補強のみに留まらず、「もっと難しい数学の問題に取り組みたい」という生徒の要望から、数学オリンピックの問題を教材として扱うなど、得意分野の探究をしている子もいます。
一方で、それぞれの教科で核となる知識や技術は必ず存在します。その場合「この宿題だけは全員やる」「これは絶対に覚える」と講師から子ども達にリクエストしています。ポイントをきちんと押さえた上で、自由度の高い授業を進行できるのは、強力な講師陣の力です。
保護者の協力にも支えられています。当塾では、毎回の授業後に保護者へ授業内容の報告と、授業中の様子、家庭学習における注意点などを共有します。オンラインで受講している場合は、一人ひとりについてメールでお伝えしています。これは毎授業欠かさず行なっており、講師が気づいた点などを細かく情報共有することで、子ども達が効果的に勉強を続けられるよう、サポート体制を整えています。その結果、ご自宅でのサポート方法も明確になり、家庭学習の質も高くなります。塾は多くても週3回程度しか子ども達に接することができません。ですから、保護者の方の協力に非常に感謝しております。子ども、保護者、講師の連携を大切にしていることが、当塾に通う子ども達の学力が向上している一番の理由だと考えています。
―帰国生が日本で受け入れられるために、アメリカでの学習・経験において生徒が意識した方が良いことなどありますでしょうか
日本の学校に受け入れられるために子ども達が特別にやらなければいけないことは、何もありません。海外で自分らしく生活し、やりたいと思ったことに没頭してください。順応力のある子どもは、現地の学校で楽しく過ごしながら、日本の学習にも前向きに取り組んでいます。これは並大抵の精神力では成し得ないことなのです。と言いますのも、子ども達にとって日本とは全く異なるアメリカでの学校生活は数えきれないほどの困難があります。その都度、自ら考え、工夫しながら数々の試練を乗り越えているのです。もちろん、現地校に限らず日本人学校でも同じことが言えるでしょう。こういった経験を自信にして日本に帰ってください。そういう過ごし方ができた子は、自己肯定感が高く、魅力的です。日本だけではなく、世界中のどこへ行っても受け入れられるのではないでしょうか。「海外にいながらも、日本語や日本の勉強もやる」それも一つの選択で、自分らしく生きる方法です。勉強したことが、自分の夢の実現に繋がったという卒業生もたくさんいます。そういった選択をした子ども達、ご家庭をサポートできるのが当塾だと考えております。
お話を伺った方
中村 健人さん
日本では、東京都の公立中学校で働き、ニューヨークに来て12年目、ずっと教育に携わっています。幼児から高校生まで幅広い年齢層の教育に携わる機会に恵まれました。それにより、自分自身の視野が広がったと感じています。当たり前ですが、子どもは一人ひとり違います。「これをやれば絶対にうまくいく」という絶対的な教育法はありません。ですが「この子にはこれをやったらうまくいった」というその子にとっての正解は必ず存在します。それを探すことが教育の面白い部分ですし、Z会・栄光ラーニングセンターは一人ひとりに向き合い、その正解を一緒に探すことにこだわり続ける組織でありたいと考えています。
Z会・栄光ラーニングセンター
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