中国残留邦人の問題、孫が訴え

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共同通信
中国残留邦人をテーマにした講演会に登壇した王賀さん=29日午後、広島市

 広島市西区で29日、戦前戦中に国策で中国東北部に渡り、旧ソ連軍侵攻に伴う混乱で戦後も引き揚げがかなわなかった中国残留邦人の問題をテーマにした講演会が開かれた。祖母が残留孤児で、9歳の時に来日した王賀さん(36)=同市=が登壇し「戦争は終わっても『戦後被害』はまだ続いている。関心を持ってほしい」と話した。

 中国人の養父母に育てられた王さんの祖母は、1997年に永住帰国し、出身地の広島市で暮らし始めた。王さんら家族も来日したが、言葉の壁や文化の違い、貧しさに苦しんだ。国から子や孫への支援はなく、王さんは「政府は残留邦人を日本に戻しただけ。安心して生活できる環境ではない」と述べた。