ニューヨークの不妊治療クリニックGFGの
アメリカ妊活便り
最終回 “母”になるという想い
妊活や不妊治療をする上で心に留めておくべきこと―それは「自分と他人は違う」ということ。
妊活がうまく進まないと、不妊かもしれないという不安や治療へのストレスから、さまざまなネット情報から自分の症状や原因を予測し、“戦友”のブログを読み漁る。私もまさにそうだった。
患者という立場の時は他人のことが気になり、比較し、一喜一憂した。ただ、今、不妊治療コーディネーターとして多くの患者様に会う立場となって気づいたことは、不妊の理由、身体の状態、妊娠のタイミングは一人一人全く違うということ。100人が同じ治療を行ったとしても、結果は十人十色。原因も結果も自己判断では測れない。だからこそ、きめ細やかなカウンセリングと、一人一人に向き合い最適な治療をしてもらえる専門医になるべく早く巡り合うことが大切である。
個々に最適な治療こそ
実際、単にタイミングのズレが原因だったり、子宮内膜症など妊娠を妨げる病気があり、その原因を取り除いた途端妊娠するなど、医師の的確な診察や治療こそが後の妊娠・出産の行方を左右することも多い。
当クリニックでは、例えば初めての不妊治療であっても、年齢や検査結果によって体外受精(IVF)から始めることも少なくない。また、個々に適した排卵誘発、流産を繰り返す場合には、流産の原因を探る血液検査を行ったり、妊娠率を高めるためにPGT-A(着床前染色体異数性検査)を行い正常胚だけを子宮に戻すなど、より確実に妊娠するためのオプションを交えた治療プロセスを提案。鍼灸などの代替医療や子宮や女性ホルモンのはたらきを促進するサプリメントの摂取など、その人が妊娠するために必要なオプションは全て推奨する。
誰もが母になる権利
だが、日本ではまだ積極的に行われていない治療も多く、その結果、日本は不妊治療の採卵数は世界最多にもかかわらず、出産率は世界最下位という残念な実態となっている。段階や規制に捕らわれる日本とは違い、「早い段階で、効果の高い治療を試すことが妊娠・出産への最短アプローチであり、結果的に時間とお金の節約になる」というのが米国の不妊治療の考え方。日本では規制が残る卵子凍結や卵子提供、代理出産も、“誰もがいつでも母になる権利がある”という考えの下、米国では規制なく試すことができる。こういった考え方こそが、“妊娠するための不妊治療”の真意ではないだろうか。
日本で治療を経験した方にとっては、日米の考え方の違いに少し戸惑うかもしれない。だが、信頼できる医師やコーディネーターとの出会いがそれらの不安を払拭し、妊娠への道標となってくれるだろう。
皆さまの“母”になるという想いが一日も早く叶いますように。
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