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共同通信
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来てくれないのも強さの証明―。今年の将棋界で藤井聡太八冠(21)が全て制したタイトル戦はいずれも最終局まで至らずに決着し、定番の対局場として名高い甲府市の「常磐ホテル」で組まれた3度の対局予定が1度も実現しない珍事が起きた。地元は大盤解説会などの集客や名産品、おやつのPR機会がなく「来年こそぜひ対局を」と強敵出現に期待を寄せる。
今年の八大タイトル戦計48局のうち、実際に対局があったのは75%に当たる36局。残る12局は藤井八冠の防衛、奪取決定に伴って実施されず、うち3局を常磐ホテルが占めた。対局場として日本将棋連盟のホームページでも告知されていた。
藤井八冠の活躍は経済効果にもつながり、対局がなくなれば地元にとっては痛手だ。
常磐ホテルの営業部長小沢行広さん(55)は「開催されれば、客室はタイトル戦関係者で埋まり、数百人の将棋ファンが集まる。経営面のプラスは大きい」と惜しむ。来年は藤井八冠が対局用の部屋「九重の間」に座るかどうかにも注目が集まる。